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不羈奔放【戦国BASARA】

第19章 襲っちまうぞ【伊達政宗】




風吹く微かな音しか聞こえない、静かな夜。夜だというのに空は明るく、月光が障子を透かして部屋を照らしている。そこに、二人はいた。胡坐をかいた上に座らせていたのだが、今はずり落ちて頭が太もも辺りに移動している。いつもは高い所で結っている髪が辺りに散っていた。
「…なんだよ」
何も言わず下からじっと見つめられることに耐えかね、口を開く。
「んー…別に?」
しかし返って来たのはそんな曖昧な言葉。彼女は未だ見つめる事をやめない。さらに、右手を伸ばして彼の右目を覆うそれに触れると、そのままごく自然に取り払った。彼の右目が露わになり、月光に照らされる。
「…おい?飲んでもねぇのに酔ってんのか?」
「んー?」
彼女は体を起こすと、彼と向き合うように座り直した。そしてまた、じっと彼の顔を見つめる。
「…冴?」
たまにこうして意味も理由もなく気ままに行動することがあるが、今日のは少しおかしい。呼んでも先ほどの様な生返事しか返ってこない。さらに、どうも視線が合わない。確かにこちらを見、こちらも見ているというのに。と、今度は左手が彼の顔に触れた。彼の、二度と開く事の無い右目に触れたかと思うと、すっと顔が近くなる。
「おい…!?」
触れたのは一瞬。ほんの少し、冷えた唇。彼は一瞬呆気にとられたが、すぐに口角を上げる。
「んなことしてると、襲っちまうぞ」
「え」
ぐ、と近くなり、塞がる。さらに、入り込む――
「ぐぅ…!?」
だがすぐにそれらは離れ、彼は喉を押さえて急にむせ始めた。
「調子に乗るな!!」
どうやら喉仏を力一杯押したらしい。頬を真っ赤に染めて冴が怒鳴り声をあげた。
「げほ。…誘っときながらこれかよ」
「誘ってなんか、ない!!」
「じゃあなんだったんだよ、あれは」
「… なんとなく?」
「殴るぞ」
あんなの誘ってるとしか思えねぇだろうが。








頑なに認めようとしない冴を貸している部屋に帰し、政宗は一人ため息をついた。
「次はホントに襲っちまうぞ…」
それをきいたのは、変わらずまばゆく照らす月のみだった。








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choice 2501~2600
元:襲ってしまうよ
お題配布元:はちみつトースト 様
http://honey0toast.web.fc2.com/
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