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【文スト】青空の憂鬱、記憶の残響【中原中也】

第6章 骨







綴が芥川奪還作戦成功を知ったのは、翌日のことだった。

情報通の綴でも時間がかかったのは、さすがの彼女も〝カルマ・トランジット〟のアジトにまでは盗聴器ならびに監視カメラは仕掛けられなかったという単純な理由からだ。樋口に盗聴器を持たせるという手も考えたが、それではいつかの太宰と同類になってしまうので諦めた。



綴には、ポートマフィア管轄内のどこにでも異能をかけるくせがあった。それはひとえに、自分の預かり知らぬうちで中也に危険が迫らぬようにという危惧からだった。が、最近ではそれも醜い独占欲なのではと思っている。綴には、中也に頼まれればその命さえも奪える自信があった。もはやそれは愛などではなく、ただの執着である。けれど認めたくなくて、綴は中也に笑顔を向けるのだ。





──中也、きみは……。



──わたしが中也のためにどれだけ泣いたかなんて、きみは少しも知らなくていい。





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