第7章 7
「どうした?俺は今から兄さんとパンケーキを食べる予定だが…
お前も来るか?兄さんがお前と話したがっていた。」
「パンケーキ…?」
パンケーキとはなんだろう…パンなら食べたことはあるけれど、
パンのケーキ?は食べたことがない。
不思議そうな顔をしていると…
「まさか、お前はパンケーキを知らないのか?」
テオさんが驚いた顔をする。
「パンなら食べたことがあります。でも、パンで出来たケーキ…は食べたことがありません…」
「パンケーキはパンで出来たケーキでは無いからな。
食べたことがないなら来い。セバスに頼んでお前の分も作ってもらう。」
「良いんですか?ありがとうございます!」
そうして私は、フィンセントさんとテオドルスさんに混ぜて貰うことになった。
…
食堂。
私の目の前には丸くてふわふわで、甘い匂いのする食べ物が置かれていた。
向かいの席に座るフィンセントさんとテオさんの前にも同じものが置かれている。
「これが、パンケーキ…」
どうやって食べるんだろう?手でちぎって?それともケーキのようにフォークを使って?
未知の食べ物を前に、目をキラキラと輝かせていると…
「アナスタシアはシロップがいい?それともバターだけがいい?」
フィンセントさんに尋ねられる。
「シロップ?」
見ると、フィンセントさんのパンケーキにはバターのみ、隣のテオさんのパンケーキにはシロップとホイップクリームが掛けられていた。
「兄さん、アナスタシアはパンケーキを食べるのが初めてらしい。」
テオさんがたっぷりシロップのかかったパンケーキを口に運びながらフィンセントさんと話している。
「そうなの?アナスタシア」
少し驚いた顔のフィンセントさん。
「はい、初めてです!」
「そうなんだぁ…甘いものは好き?もし好きなら、シロップをかけるといいよ。テオみたいにホイップクリームを貰う?」
「甘いの好きです。シロップを貰ってもいいですか?」
「そっか、それなら俺が掛けてあげる。食べ方はわかる?」
そう言って私のパンケーキに黄金色のシロップを掛けてくれるフィンセントさん。メイプルシロップの香りとパンケーキのいい匂いがする。
「わぁ…!すっごく美味しそう!」