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落花

第6章 6





「これは続きから書いてあるから、最初のページはここ。ここのところ執筆作業なんて全然やってなかったからちょーっと行き詰まってるんだよねー。」

見ると、アーサーの目の下にはうっすら隈が出来ていて、着ている服からはコーヒー豆の匂いがした。

「もしかして、あれから眠らなかったの…?」

「んー?まあね。昨日キミの部屋から戻った後、急にやる気が出て小説の続きを書いていたんだけど、なかなか良いものが書けなくてねー。」

「そうなの…?少し眠った方が良いんじゃない?アーサー、すごく疲れているように見える。」

気遣わしげに視線を合わせる

「なーに、心配してくれるの?嬉しいなー。
確かに少し休んでリフレッシュした方がいい案が浮かびそう。
ってことで、膝枕してくれる?」

「膝枕?」

膝枕ってなんだっけ…?たまに彼がしてくれていたあれのことかな…?

「…もしかして、膝枕知らない?」

アーサーが驚いた顔で聞いてくる。

「えっと、多分わかる…と思う。どこでしたらいい?」

するとアーサーはますます驚いた表情になり…

「ジョーダンで言ったんだけど、本当にしてくれるの?」

「え?うん、いいけど…ベッドの上で良いの?」

「ん…。じゃあお言葉に甘えて…」

ベッドに座った私の太ももの上に、アーサーが頭を乗せる。
私は太ももに乗せられたアーサーの髪を撫でる。

「っ…!…アナスタシア?」

私はアーサーの髪を撫でながら返事をする。

「どうしたの?膝枕ってこれで合ってるでしょ?」

アーサーの反応が不思議で、間違えたのかな、と思っていると…

「合ってるといえば合ってるケド…」

アーサーらしくない、煮え切らない返答。

「本当?何か間違っていたら教えて。直すから…」

「んーん、これで合ってます…なんか恥ずかしー。」

「や、やめる?」

「だーめ…やめないで。」

「わかった、やめない。」

そのまま暫くの間膝枕をしていると、アーサーから寝息が聞こえてきた。

「アーサー?寝ちゃったのね。」

規則正しい寝息を聞いていると、つられて私も眠くなってくる…

部屋に戻ろうにも、太ももの上にはアーサーの頭が乗っていて、動けそうにない。

「起こすのも可哀想…か、な…」


そして、そのまま私も眠りに落ちた。





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