第6章 6
「だーから、そういうのはナシね?ちゃあんと毎晩分けてあげるから、キミも俺に食べさせて。」
「でも、本当に平気だよ…?無理してるんじゃ…」
「無理なんてしてナイ。無理なら最初から立候補しないよ。
それに伯爵にもキツーく言われてるからね。アナスタシアに力を分けること、って。それとも俺が伯爵に叱られてもいいのー?」
「それは…申し訳ない、かも。」
「でしょー?だから大人しく俺を食べて。」
そのままアーサーに口付けられる。
私の身体に力が流れてくる。美味しい。
アーサーが唇を離す。
「ん。足りそう?」
「うん。美味しかった…」
精力を分けてもらった後は満足感で恍惚とする。
「そー?良かった。俺も咬んでいー?」
「ええ。私の血で良ければ、召し上がれ。」
アーサーが咬みやすいように私は着ていたドレスの胸元を開く。
「あー、ごめん。久しぶりに咬むから、痛いかも。」
「痛くても大丈夫。ヴァンパイアに咬まれるのなんて初めてだから少し緊張するね。」
「そーなの?ハマっちゃうかもね。ヴァンパイアに咬まれる時、痛いのは一瞬でその後はどうしようもなく気持ちよくなるってウワサ。」
「そうなんだ。不思議だね。はい、咬んでいいよ」
私が胸元のボタンを外し終えると同時に、アーサーが咬みつく
一瞬チクリとした痛みが走った。
けれどすぐに痛みは心地よさに変わる。
「んっ…ほんとだ、気持ちいい…」
アーサーが血を吸い終える
「ん、御馳走様。」
私はまだ身体に力が入らない。
「すごいね…本当に気持ち良かった。見て、まだ力が入らないの」
初めての感覚に素直に感想を述べる。
そんな私を、アーサーが溢れた血を舌でペロリと舐めながら見つめる。
「なんていうか、流石サキュバスって感じ。普通の女の子なら、気持ち良すぎて感想なんて言う余裕無いんだけどなー。」
「ん…私も余裕があるわけじゃないよ…普通の女の子ではないから、話せる、けど…」
「ごめん、失言だった。今のは忘れて?」
「え?大丈夫だよ。気に障ったわけじゃないの…
あ、アーサーはどうだった?私の血、美味しかった…?」
「…うん、とっても美味しかった。ありがとー」
「私もありがとう。それじゃあ、また明日ね。」
「ん…おやすみ」