第6章 6
「失礼しまーす」
アーサーさんが入って来た。
「アーサーさん?どうしたのですか?」
私が疑問を口にすると…
「んー?君の食事、俺が担当しようと思ってー。」
信じられない言葉が飛び出す。
「ま、待ってください!アーサーさん、力を分けてもらうときはキスをしなくてはいけないんですよっ!?アーサーさんは愛する人が居るんじゃっ…!」
そんなアーサーさんとキスなんて出来ない…
「うん。俺はあの子を愛してる。でもそれはキミも同じじゃない?」
「それは、そうですけど…でも…」
やっぱり出来ません、そう言って断ろうとした時伯爵が口を開く。
「お互いに愛する人が別に居るなら…尚更アーサーに任せたいと思っているよ。その代わりと言ってはなんだが、アナスタシアの血もアーサーに分けてやってくれないか?利害関係の一致という割り切った考えが出来る君たちがベストだと思ったんだが…」
伯爵の言葉に少し納得してしまった。
確かに、お互い別の人を愛していて…ただ生きるためにお互いを求めるだけの関係…筋は通っている気がする。
それにアーサーさんと私はお互いの苦しみをよくわかっている。
「そう言われたら…そう、なんでしょうか…?」
思わず口をついて出た言葉は肯定と捉えられる
「そーだよ。だからしばらくの間よろしくね、アナスタシアちゃん。」