第9章 家出
私が黙り込んでいると
頭の上にコンっと何かが乗る
安室さんが私の頭の上に
顎を乗せてぎゅっと体を包んでいた
ちょ、ちょ、なにしてんだ!
安「大丈夫、何もしないから」
わたわたと慌てていると
安室さんが優しい声色で
落ち着かせてくれる
背中に密着する肌に
ドキドキと心臓がうるさい
安「ねぇ、名前ちゃん
ここ、赤井にされたんですか?」
ふにっと胸の先を指先で
触られてビクッと体が反応する
私は否定出来なくて
黙り込んだままだった
安「…そういう事ですか。
大丈夫だよ、名前ちゃん
赤井のヤツ…僕の日本で
犯罪を犯すとはいい度胸だ
逮捕してやる!」
んんん…?逮捕?
赤井さん、逮捕されちゃうの?
『だ、だめだよ!
あ、赤井さんは構ってちゃんの
大きなわんちゃんなんだよ!
ちょっとぺろぺろしただけだよ!』
私は慌てて赤井さんの事を
庇ってしまった
すると、安室さんは
肩を揺らしながら笑いを堪えていた
安「ふっ…大きなわんちゃんって!」
しばらく安室さんは
笑っていた
何がそんなにツボに入ったのか
分からないけど
怖い顔してるより
笑ってくれている方が私も嬉しい
一通り笑った後
安室さんは口を開く
安「取り敢えず、赤井がロリコンに
目覚めた事は置いといて、
まだ聞きたい事あるんだ」
『ん…?』
安「赤井と沖矢昴の関係性について
それから、君の本名も」
ドクンっと心臓が跳ねた
やばいやばい
私が沖矢名前と嘘ついた事
バレてるじゃんか!
安「心臓の音…早くなりましたね
さて、教えて下さい
赤井と沖矢昴の関係性を」
え、そっち?
そっちの方が知りたいの?
『赤井さんと沖矢さんの関係性って
んー…私もあんまり知らないな…
同居してるから仲は良いと思うけど…』
そこまで話してある事に気付いた
赤井さんと沖矢さんと
3人で会った事がない…!
3人一緒に同じ屋根の下に居るのに
ご飯を食べる時も2人が同時に
姿を現した所を見ていない!
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