第4章 黒い宝石
「テリオス、姫の部屋はいかがいたしましょうか?」
「いつ目を覚ますかわからない
俺の部屋に連れていく」
シュヴァリエが持ってきたリネンで
レイの頭からつま先まで覆い被せて
宝物庫から連れ出し私室へと向かう
途中でラフィネに侍女頭のエルザを呼びに行かせた
私室に入りシュヴァリエを待機させ寝室に続くドアを開いた
被せていたリネンを取り除き
広い寝室の中央に鎮座するベッドに
そっとレイを下ろした
「殿下、エルザが来ました」
「入れ」
「失礼いたします殿下」
ベッドに腰かけレイの髪を梳かし整えエルザを近くに呼んだ
浮名の一つも流したことがないテリオスが
あろうことか自分の寝室のベッドに女性を連れ込んでいることに
一瞬エルザは動揺したが流石場数を踏んだ侍女頭
瞬時にテリオスが言いたいことを理解し
"信頼できる者を呼んでまいります"
と一礼をし下がって行った
程なくしてエルザが一人の侍女を連れて帰って来た
「殿下この者はまだ務め出して一年ではありますが
口が堅く頭の回転も良く信頼に足る人物でございます」
「リーサと申します」
赤髪を後ろで三つ編みにした
まだ幼さが残るリーサは深々と頭を下げた
「最初に言っておくが彼女のことは
我々以外の人間には他言無用だ」
先ほどの宝物庫でおきた出来事を
包み隠さず話しリーサはレイ専属侍女になった