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ジャンルごちゃ混ぜ短編集

第1章 太陽の光のもとに鳥は飛ぶ【笛・尾形智】



数日後、今日も趣味であるバードウォッチングをしに、尾形はいつもの公園に足を運んだ。ここはふつうの公園よりも自然が多く、野生の鳥が数種類生息している。そんな自然の中で心安らかに双眼鏡を覗くのが尾形は好きなのだった。



歩き回って一息つこうとベンチに座り、ペットボトルの蓋を開ける。ごくり、と喉を液体が通ると自然に息が外へ出た。このあとはどうしようか、と思いにふけっていた尾形は、近寄ってくる人影に気づかなかった。
「尾形くん?」
「え?」
不意に呼ばれて顔を上げるとそこには数日前に尾形の目と心を奪った本人がいて、尾形の心臓がどきっと跳ねた。
「え、あ、真藤さん?」
「うん、よく知ってたね」
「…まぁ、隣のクラスだしね」
ここ数日、見かける度に目で追っていた、なんて言えるわけも無い。隣いい?ときいてくる羽実に、どうぞと尾形は返した。
「尾形くん、ここよくくるの?」
「あぁ、ここはいろんな野鳥がいるから」
「バードウォッチングが好きなの?」
「うん」
へぇ、いいね!と言ってぐっと伸びをする羽実。尾形はその羽実の首から下がっているカメラに目を向けた。
「真藤さんは、写真?」
「うん、そう」
「…見せてもらっても、いい?」
軽くカメラをあげてみせる羽実に尾形は緊張気味にきいた。羽実は一瞬きょとんとした後、若干照れながら、尾形にカメラを渡した。受け取った尾形は、まずその重量に驚いた。
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