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陰陽の地平に花が咲く【遙か】

第1章 共に感じる心地良さ


着いたのは、外れの方に流れる小川。あまり人目につく場所ではない方がいいだろうことから選んだ場所だった。河川敷へ降り、あかね達は靴と靴下を脱いで川水に足を浸けた。「気持ちいい〜!」と喜ぶ声をきいたあと、清都も同じように履き物を脱いで裾を上げ、足を濡らす。ひんやりと気持ちいい水が、足に染み込むような感覚に見舞われた。心地よい穏やかな水の流れを感じながらザプンと足を進める。
「清都さん、危なくない?」
川の中頃まで歩いた清都を心配したあかねが声をかける。清都は「大丈夫」と笑って川の中心にある大石に腰を下ろした。足を上下させれば、ちゃぷんと水が跳ねる。跳ねた水を追って視線を上げると視界に橋が入り、さらに人影が映り込んだ。それは見覚えのある、むしろ先程まで共にいた人物であった。
「泰明殿、いつの間に」
「お前が大石に座り込んだあたりからだな」
全然気づきませんでした、と言うと、修行が足りぬなと返される。頬をかいて苦笑した清都を、泰明はじっと見つめていた。
「泰明殿?どうかされましたか?」
「…それほどまでに、気持ちがいいのか?」
「え?」
泰明の問いに、清都はきょとんとする。まさか泰明の口からそんな問いが出るとは思わなかったので。清都は1、2度目を瞬かせたあと、ふふっと笑って答えた。
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