LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第17章 《菅原》意外と近くにあった恋。
「お先に失礼します。」
「お疲れ様でーす。」
2月13日。何があるわけでもないが、たまにはいいかなと思って残業をせずに園を後にした。
私の足は、バレンタインフェアのやっているデパートへと向かっていた。
妄想だと、区切りをつけたはずなのに、
区切りをつけたいと願ったはずなのに、
それは叶わなくて、どこかで会える気がしていた。
それも、妄想なのかもしれない…、けど。
あまいあまいチョコレート。
苦い苦いチョコレート。
決して高いわけじゃないけど、トリュフが6粒入ったものを買った。
届けられるといいな。
14日。
仕事も終わったけど、彼が通らないかと絞り出して何かしらしていた。
やろうと思えば、保育の事務仕事なんて無限に出てくるんだから!
でも、その願いもむなしく、19時30分になっても彼の姿は見当たらなかった。
「あたりまえ、か。」
ぽつりとつぶやいた言葉は、誰の耳にもとどかない。
じわりとにじむ涙をこぼさないように、ぐっと袖でふき取って私は帰宅の準備をした。
鍵を閉めて、はぁ…っと一息つくと、白い息が空に舞っていく。
あぁ、冬なんだなぁ。切ないなぁ、なんて思ってみる。