LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第17章 《菅原》意外と近くにあった恋。
「ナギ先生、誰かにチョコあげるの??」
「いやぁ…どうですかねぇ。」
「若いんだから!頑張ってよ!」
「はぁい!」
とある保育士の休憩中の会話。
先輩の先生に声を掛けられ、ちょっと目を離していた現実を見せられる。
もうすぐ、バレンタインデー。
渡したい人がいないわけでもない。
嘘です。います。とてつもなく渡したい人が。
でも、名前は知らない上に、彼は確実に4歳は年下。
保育士2年目の私は、保育園の横を通りすがる高校生に恋をした。
毎晩、普通ならご飯を食べているであろう時間に、
その子は友達と一緒に帰路についているらしい。
サービス残業で疲れた私は、数人の足音を聞いて外へ目を向けるんだ。
そして、烏野高校の制服を着て、友達と笑いあう、白髪で笑顔のとても似合うさわやかな少年を見てそっと笑みを浮かべる。
そんな日常をこの一年過ごしていた。
でも、だんだん帰路につく時間は早まり、仕事中にちらっと彼の姿を見ることができる程度になった。そして、2月に入ってとうとう彼の姿を見なくなった。
何度も考え、きっと彼は高校3年生なんだと思う…という結果に至った。
そうすれば、自由登校になったって説明がつくんだ。
ということは、もう彼には会えない。
あの日々は、あの一年は私の妄想だったんだ。
って、思い過ごすしかないかな。