LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第17章 《菅原》意外と近くにあった恋。
遠くはないけれど、目の前にあるわけでもない駐車場までゆっくりと歩いていく。
…もしかして、彼が歩いてくるかもしれない。なんて願いを込めて。
願いばかりじゃ叶う思いも叶わないよ。
でも、それでも願わずにはいられないのが恋なんだろうなぁ。
「あっ…あのっ!!」
「ひゃっ!!!!」
自分の車へと足を運んでいると、男の子の声が私を呼び止めた。
振り向くと、そこにはずっとずっと願っていた彼の姿。
手には、一輪の花を優しく握っていた。
「俺、烏野高校の菅原孝子っていいます。これ、よかったら。」
「私、に?」
「はい。いつも遅くまで仕事してて大変だなって思ったのがきっかけで…、俺みたいなガキ嫌かもしんないけど、せめて、この花だけは受け取ってほしいっていうか…。」
指で頬を掻きながら、恥ずかしそうに差し出す一輪の花。
きれいで可憐なバラ。私にはとても似合わない。貴方の隣に立つのも似合わない。
それでも、ちょっと夢を見てもいいのかな…?
「ありがとう。」
にこっと笑って受け取って、ちょっと大人ぶってみる。
「じゃぁ、おかえしね。」
余裕ぶって、ドキドキしながら買ったチョコレートを差し出した。
受け取った時の彼の嬉しそうな顔が、胸に焼き付いた。