LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第12章 《影山》sweet sweet kiss.
黒髪を揺らしながら、少しだけ乱れた息遣いに、影山くんがどれくらい急いでくれたかを感じて、嬉しくなる。
ぶっきらぼうな言葉遣いの私の彼氏は、分かり辛いようで、とても分かりやすい。
「練習、あったんでしょ?」
「別に、今日一日居残りしなくても心配ねーし」
少し拗ねたように唇を尖らした彼は、横目でチラっと視線を向けると、大きな手で私の手を包んだ。
「つっ、付き合ってんだから手ぐらい繋ぐだろ」
顔を真っ赤にして、決して目を合わせようとしない。彼なりに恋人らしいことを考えてくれているのかと思うと、恋人として過ごせる時間が少ないことなんて忘れてしまう。
「影山くんの手って大きいよね」
「そーかな?人と比べた事ないから分かんね。てか、ナギの手は小さいよな」
手を繋いだり、話をする時もあまりきちんと目を合わせようとしないのに、名前呼びはサラっとしてしまうから不思議だ。
「そうかな?女子の中では割と背も高いから手も大きいと思うんだけど」
「小さくて、細くて、折れそうだから。なんか守ってやりたくなる」
聞き間違いーーじゃないよね? 思わず顔を見上げると、首まで真っ赤にした彼はバツが悪そうに、そっぽを向いている。しばらくすると、黒髪を揺らしながら何かを諦めたように深い溜息をこぼして、何時もは逸らされてばかりの視線は迷う事なく私を捉えた。
「バレーの事ばかりだけど、俺は俺なりにちゃんとナギの事思ってるから」
不器用な彼からの甘い言葉が、気恥ずかしくて思わずクスっと笑みをこぼすと、何時も尖っている唇がへの字に変わる。