LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第3章 【SS】月島蛍のバレンタイン
「いざ、戦場へ!!」
「勝手にどうぞ。僕はここで待ってまーす。」
社会人一年目の冬。
僕はおかしな先輩に懐かれてしまったお陰で、百貨店の最上階。人がごった返す戦場に駆り出されると言う、とんでもない災難に見舞われた。
「そんなぁぁあ!!!月島くん、背高いから良い盾になると思ったのにぃぃぃい!!!」
「そんな事だろうと思いましたよ。」
「一緒に行こう?ね?」
「イヤです。」
毎年1月の下旬から、百貨店で開催されるバレンタインフェア。フロアにはすでにたくさんの客がひしめき合っていて、見ているだけでも疲れてくる。
「だってね、ここのチョコとかすごく濃厚で美味しいし、こっちのなんて限定のガトーショコラがあって!!!」
「そんなに買ってどうするんですか?」
「え?自分で食べるけど。もちろん協力してくれたら月島くんにもおすそ分けします!!」
「はぁ…。どの店行きたいんですか?こんな人混みの中行ったり来たりは絶対イヤですよ。」
「おぉ!!!プランだね!攻略プラン!!」
僕の気持ちなんて気にもとめず、小鳥遊さんは会場マップを広げ回りたい店を指差す。キラキラと目を輝かせ興奮気味な姿に胸の奥が勝手にキュンと音を立てるもんだから、そんな自分自身に対して僕はため息をついた。
(なんか、悔しい…)
こんな人混みなんて絶対にごめんなのに、この人を喜ばせたいと思ってしまった時点で、完全に負けてる……。