LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第6章 《孤爪》LOVE!CHOCO!KISS!
勢いのままなぜだか頭を下げていた。90度。仕事で何かやらかしたサラリーマンさながらの謝罪に、研磨さんは、プッと吹き出し笑った。
「いや、謝る事でもないけど。」
伸びた手が私の手に握り締められた赤い小さな包みに触れる。
「ごめん、手が悴んでヤバいから、家帰ってから食べる。」
「あ、いえ、あの、研磨さんが声かけてくれなかったら渡せないままだったので!煮るなり焼くなり好きなタイミングでどうぞ!!!」
いや、普通に食べるけど。研磨さんはそう言いながらチョコレートをポケットにしまい、またクスりと笑った。自分に向けられた笑顔に、胸の奥がキュンと苦しくて、でも熱くて、堪らない。
「け、研磨さん?」
「なに?」
「その、あの…研磨さんがさっき言ってくれた言葉は本当、ですか?」
「嘘で言わないでしょ、あんな事。」
「わ、私も………研磨さんの事、好きです。」
もう一度握られた手は今度は優しく引き寄せられ、次の瞬間私は研磨さんの腕の中にいた。
突然押し寄せる幸せにあたふたする私を気にもとめず、研磨さんは口を開く。