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LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜

第6章 《孤爪》LOVE!CHOCO!KISS!




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あの日借りたままのヘアゴムは、未だ俺の手首にある。

もし、今日ナギからチョコを貰うことがあったら、その時は少し話をして…それで、これを返そうかと頭の中では予定を立てていたのに、その日部活を終えるまでにナギに話しかけられる事はなかった。

勝手な話だけど、まるで肩透かしを食らったような、そんな気分になる。だけど全てはこっちの予測であって、やっぱり女心はゲームのようにはいかないんだと、どこか腑に落ちた気もした。

話し掛けるタイミングも掴めないまま、ヘアゴムを借りてから数日が経った。ナギは別のヘアゴムで髪を束ねているから、きっと急ぎで返さなくても問題はないだろう。もう少し、ナギと話すきっかけになる道具は借りておこうか。

(帰ったらまた家にクロがいたりして…。)

間違えなく面倒な事を言ってきそうだ…とまた予測を立てるけど、それもまたハズレで、夜帰宅して玄関を開けると、母さんが「はい、研磨!ハッピーバレンタイン!」と言って、赤い包みを渡して来た。
これでバレンタインのチョコレートは全部で4個。

一つは母さんの。
後の三つは大学で同じ学部の女子がばら撒いていたアソートパックのチョコレート。自室に入り、まったくもって自分にはどうでも良い義理チョコ達を鞄から取り出し、無造作に机の上に乗せた。

もしナギがくれたチョコがここにあったら、ひときわ輝いて見えるもんなのなか…。ナギは誰かにチョコをあげたりしたんだろうか。義理?本命?そんな答えの出ない疑問が頭の中を占拠していた。

(あー…馬鹿馬鹿しい。)

ベッドの上に置いてあるゲーム機を手にして、電源ボタンをオンにする。

だけど、まるで線香花火みたいな小さな熱が、チリチリと胸の中を静かに焦がし熱くするせいで、どうにも集中できず直ぐにゲームオーバーになった。



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