LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第6章 《孤爪》LOVE!CHOCO!KISS!
「社会人になってもそんな風習あるの?」
「あるらしーぜ。どうしよ。綺麗なオネーさんから貰ったら!」
「面倒なだけじゃん。」
「そう言う研磨コーチはどうなんだよ?」
「さぁ…。普通にお母さんから貰うんじゃない。……あ。あと、もしかしたらもう一つ貰える、かも。」
ふとナギの顔が浮かんだ。
「おやおやおやおや?」
「ウザいよ、クロ。」
「まだ何も言ってませんケドぉ!?」
別に自分が男として魅力があるとは一切思わないけど、ここ最近のナギの態度は明らかに自分に好意が向いているようにしか見えなかった。いや、よくよく思い出せばもっと前からだったようにも思う。
普段からドジだし、少しほっとけないタイプなのに、自分の前だと更にしどろもどろになって、いつも地に足がついていないと言うか、フワフワしている印象だ。
つい数週間前も、俺に彼女がいるだのいないだのって、そんな話をしたけど。その時は顔を真っ赤にして、凄く必死だったっけ…。
「なぁーにニヤニヤしてんの、珍しい。」
「……別に。」
別にニヤニヤしたつもりなんてないけど、ナギの事を考えると何だか表情筋がおかしくなる。
「研磨が好きになる子、俺も見たいから今度連れて来いよ!」
「やだ。それに、好きだなんて言ってないし。」
「でもさぁ?その子が他の奴に知らない間に"攻略"されてたら、お前どーなのよ。」
「なにそれ。ゲームとは違うでしょ。」
「あながち違うとも言い切れないぜ?恋愛も、タイミングに駆け引きだからな。」
「ふん。彼女いないクロに言われてもね…。」
「俺は良いんですぅーー!!!」
クロにはそんな風に言いはしたけど、どこかで明日のバレンタインに起こるかもしれないイベントに、期待を寄せている自分がいた。
「ん?そういや研磨、髪結ぶようになったの?」
「まぁね。伸びてきたから…。」