LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第23章 《菅原》恋する私の出発点
「潔子、おはよう!」
「おはよう、ナギ。今日は早いのね」
「まぁね〜」
言われて気付く。
この三年間で一緒に登校する事はあっても清子より早く更衣室にいたのははじめてだったかもしれない。
「ナギ、今日菅原に…?」
「…うん、そのつもり」
「そっか、応援してる」
「へへ…ありがとう!玉砕したら慰めてね!」
潔子は一年生の頃から私のこの片思いをずっと応援してくれていた。
私の気持ちを知る数少ない内の一人だ。
「そろそろ時間だね、行こう潔子」
「うん」
澤村、東峰、そして菅原。
三人の最後の雄姿を見届けなくちゃ。
体育館の扉をくぐればそこは外の冷気とは真反対の熱気に包まれていた。
「わぁ、みんなもうアップ済ませてたの?!」
「「潔子さん!ナギさん!ちわーッス!!」」
日向影山に限らず今日は皆の集合が早い。
あの月島までいるのだから皆特別な気持ちでいるのかもしれない。
今日は普段の練習メニューとは違い、3対3のミニゲームメイン。
「うし!最初の2チーム入れ!始めるぞ」
烏養コーチの声でコートにメンバーが立つ。
私から見て右側のコートには影山、日向、月島。
そして左側のコートには、
「ナギ…?」
「ごめん、なんか既に泣けてきた…」
澤村、東峰、菅原。
ここまで3年間、ずっと一緒に頑張ってきた3人がいた。
それから、セットが終わる事にチームを入れ替えてミニゲームを繰り返し行なった。
私はずっと、菅原のトスワークから目が離せずにいた。
この姿を、目に焼き付けておかなきゃって思ったから。
「よーし、そろそろ終わるぞ!」
コーチの呼び掛けでみんなが集まり出す。
そしてユニフォームの返還式が行われる。
私と潔子もユニフォームこそないものの、澤村たちと同じ様に並んだ。
私達の前には一緒に頑張ってきた後輩達が並ぶ。
一人ひとりの顔を見たら涙が溢れそうで、グッと奥歯を噛み締めて笑顔を作った。
武田先生が一歩前に出て口を開く。