LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第5章 《白布》君にチョコを渡す方法
タオルと一緒に置いていたスマートフォンの画面にメール受信のポップアップが出ているのに気づき、俺は手を伸ばした。
反対の手でスクイズボトルを手に水分補給をしつつメール画面を開く。親指でタップした次の瞬間画面いっぱいに表示された画像に驚き、ボトルは手から滑り落ちた。
ガタンッ!
「?どうかしたか?」
少し離れたところからの牛島さんの問いかけに、平静を装い「問題ないです。」と返答するが、正直問題しかない。
(フザケンナッ…!!!)
画面に視線を落とせば、チームメイトと自分の彼女が肩を寄せ合っているのだから、気が気じゃない。
(あの馬鹿何やってんだよ)
「ちょっと電話してきます。」
「ああ。わかった。」
体育館から足早に出て、着信履歴から"川西太一"を探し瞬時にタップする。
すぐに鳴り出す呼び出し音。
5コール目くらいで音は途絶え、続けて「あ、白布?」と呑気な声に、頭ん中はイライラという文字が溢れんばかり湧いていた。
「お前どーいうつもりだよ。」
「いや、だから小鳥遊とマックに居るんだけどお前も来る?」
「ちげーよ!!なんでお前ら二人でいるんだっつってんだよ!!」
「何怒ってんだよ。小鳥遊ってお前の何かなワケ?」
太一の煽るような口ぶりに吠えそうになる気持ちをぎゅっと堪える。
「……別に。」
「俺、小鳥遊の事ちょっといーなーって思ってんだよねー。」
「勝手にしろよ。俺関係ねーし。」
プツッ…
一方的に電話を切り、スマホをポケットにしまう。
(アイツも何ノコノコついてってんだよ。)
チームメイトの横で困った顔を浮かべる彼女が頭から離れない。自分が大して彼女に構ってやれてないという非がある分、数倍以上に悔しさは膨れ上がり自分への苛立ちに変わっていった。