第5章 VSストーカー
『え?…は?』
私は混乱した。
刃物を持った男が近づいてくるという危機的状況にも関わらず、この人は私の頭を撫でたのだ。
この男、とことん訳の分からない男だ。
「大丈夫だ。あの程度の刃物、恐れるまでもない。」
そう、一言残して王子(仮)は自らストーカーに近づいていく。
この人、馬鹿なの?
もう、だめだ。あの人もタダじゃ済まない。そう思った瞬間だった。
「さあ、仕置の時間だ。歯、食いしばっておいたほうがいいぞ。」
王子(仮)は的確にストーカーの右手を狙い、ナイフを蹴り落とした。ストーカーが小さく悲鳴をあげ狼狽えてる隙に、鳩尾に素人目からも重そうだとわかる一発をくらわせていた。
一瞬の出来事すぎて、何が起きたか理解するのに時間を要した。
まあ、簡潔に言うと、王子(仮)がナイフを持ったストーカーを倒したのだ。
『何が、起こって…?』
「おい、こいつどうすればいいのだ?死んではないがしばらく起きないぞ?」
『え、あ、ああ。そうですね…門の外につまみ出しておいてください。』
我ながらひどい対処だが、それだけの事をしたのだ。警察に出さないだけありがたいと思ってほしい。
こうして、ストーカーとの戦いは幕を閉じた。