第4章 最後の希望 (閑話)
入って来たのは、父親のリゲルだった。
「フェリア……、また君は……。いいかい、君は病気を患っているのだから無理に起き上がるのは良くない。安静に寝ていなさい」
「大丈夫よ、リゲル。この子と話す為に起き上がる事ぐらい。それぐらいはさせて頂戴……」
「はぁ……、分かったよ。それぐらいは妥協しておこう……。だが、無理はするなよ」
ゲリルはため息を吐くと部屋を出て行った。
「いい?ロディ……。この本の話を誰にもしてはダメよ。見つかるのもダメ」
「どうして……?」
キョトンとした表情でロディはフェリアを見上げる。
「この本はとても重要で危険な本なの。今は理解出来ないかも知れないけど、いつか貴方にも理解出来る時が来るかも知れないわ……。母さんとの約束よ?」
「う〜ん……。わかったぁ!ははうえとのおやくそく!」
「よし、いい子ね!それでこそ私の可愛いロディよ」
それから時が経ち、僕の母上は誰がどう見てもその命が長くはないという事が分かった。
「母上……、嫌です。行かないで下さい!」
「ロディ……、ロディ。そんなに泣かないで……。貴方は将来男前になるんだから……。せっかくの顔が台無しよ……?」
母上はもう既に僕の涙を拭ってやれるだけの力も無かった。
「ほら、もう貴方の涙を拭ってあげる力もないの……。ごめんね……。でもね、ロディ貴方には私の手なんて必要ないのよ……、だって貴方は私なしでも生きれる知恵を身につけた……」
「フェリア……、」
「リゲル、貴方には私の家名を授けます……。どうか、私の分もロディを支えてやって下さい……、愛しています」
「あぁ……!私もだ……」
そう言って愛する妻の手を握り、涙を流すリゲル。
「ごめんなさい……、ちょっとロディと2人きりにしてくれるかしら……?」
「分かった……」
リゲルは周りの医者を連れ、室内を後にした。