第2章 悔いなき選択 (前編)
私達のような地下街で生まれ育った奴らは、日の光を浴びることが出来ず、地上の大地さえも踏むことなく一生の人生を地下街で終える事は珍しくはない。
その大きな原因が地上へと繋がっている階段を買い占めている奴らと他にある。
奴らはその階段を通る者に"通行料"という物を払わせ、対価を払える者しか通さない。
挙句に価格を奴らの好き放題自由に決める事が出来る所為で、元々貧しい暮らしを強いられている者が多いこの地下街では、そんな対価を払える奴はそういなかった。
例え、何とか絞り出した金で地上に出られたとしても"居住権"が無ければまた地下街に送り返されるだけだ。
私達が此処に生きている意味はあるのか……、
もし、この地下街を出て地上で生きていけるならどんなに自由なものなのだろうか。