第3章 悔いなき選択 (後編)
「生存者はお前だけか」
エルヴィンは巨人の横で力無く立ち尽くすリヴァイを見下ろしていた。
「無様だな」
『…………ッ!!』
殺すつもりでエルヴィンに剣を突きつける。
エルヴィンは手を刃で傷つける事を厭わずに素手で掴み、それを阻止する。
『テメェを…………、殺すッ!!その為に此処に居るッ…………!!!!』
エルヴィンは自分の懐からある物を取り出し、それを地面へと投げ捨てる。
それは、私達が探し求めていたロヴォフの不正の証拠書類だった。
『……ッ!!』
「ロヴォフの不正の書類……、そのダミーだ。本物は今頃、ダリス・ザックレー総統に届けられているだろう。……、ロヴォフは終わりだ」
何だよそれ……、ふざけんなッ……!!!!
だったら、何の為に私達が此処まで来たっていうんだ…………!!
何の為にファーランとイザベルが死んだっていうんだよッ…………!!!!
『テメェ……ッ!!全部分かってたのか……!!お前を狙ってると分かってて……、私達をォオッ…………!!!!』
クソ……ッ、クソがぁ…………ッ!!
そんなの……、そんなのってあるかよ…………、
『うゥぅッ……!』
リヴァイは立つ気力も無くなって、地面に膝をつく。
エルヴィンにまんまと出し抜かれていた事にも気付かなかった所為で、何の意味も無くコイツらを私は死なせてしまったのかよ…………、
雨の雫の様に、涙が頬を伝う。
そして、自分の選択と過ちに後悔が一気に押し寄せる。
「よせ、後悔はするな……。後悔の記憶は次の決断を鈍らせる。そして決断を、他人に委ねようとするだろう。そうなれば後は、死ぬだけだ」
じゃあ、どうする事が正しかったんだ……、教えてくれよ……。
「結果など誰にも分からない。1つの決断は、次の決断の為の材料にして初めて意味を持つ。……、壁外調査を続ける。リヴァイ、お前も来るんだ」
コイツには……、
この男には、一体何が見えているんだ…………?