第2章 つまさき立ちの恋【跡部景吾】
跡部「アーン?掃除当番の奴等はどうした……ぶっ!?」
名前「……ぇ?」
私は事もあろうに本日失恋する事が決まってしまった、想い人である相手の顔面に…雑巾を大命中させてしまった。
慌てて彼に駆け寄り、私は初めて彼に向けて声を発した。
名前「あ、跡部君!ご、ごめんなさい!!まさか跡部君が来るなんて思ってなくて…その、ちょっと色々あって…本当にごめんなさい!!あああ、どうしよう…ま、まずは顔洗わなきゃだよね…いや、手当てかな?何処か痛いとこ……むぐ!?」
跡部「初めて声聞いたと思ったら、えらく饒舌じゃねぇの。俺様の顔に雑巾投げ付けた理由とやら、ちゃんと聞かせて貰うぜ?」
ひぃぃぃぃ!!
口を右手で塞がれてしまえば、もう喋る事なんて出来ない。そんな折、彼がニヤリと意地悪く笑う。
初めて話しただけでなく、どんな状況であれ触れられている彼の手の感触に頭がくらくらとしてくる。
その状況にふっと、意識が途切れた。
私が此処までこの跡部景吾という人間に恋をしているなんて事を、私自身今の今まで知らなかった。