第6章 6話
先程までは2人の会話に割り込んではいけない、と黙っていた彩夏が急に会話に入ってきたので根津もオールマイトも少々驚いていた。
(オールマイト)
「13号くんと相澤くんだよ。留守電じゃなくて、“繋がらない”んだ。」
おかしい。
消太にぃは一見携帯電話などの充電を怠るようかに見えて、常に充電は完璧にしている。
留守電を聞いたり、かけ直すのが面倒だそうだ。
(彩夏)
「ちょっとまって、私も電話してみる。」
彩夏はすぐさま相澤のプライベート用の携帯に電話をかける。
(彩夏)
「だめだ。繋がらない。
こっちの携帯は私専用の携帯なの。“授業中でも出るから困ったらいつでもかけてこい”って言われてる...
しかも、消太にぃは携帯の充電はきちんとやるタイプ。」
何かあったんじゃ...と彩夏は慌てだした。
(根津)
「じゃあ彩夏、ちょっとひとっ走りUSJまで行ってきてくれないかい?
この様子だと、彩夏もオールマイトも落ち着かないみたいだし。」
(彩夏)
「ありがとう、根津さん。
何かあれば大きな赤色の鳥を、何も無ければ大きな青色の鳥を仮眠室に飛ばすから。」
(オールマイト)
「分かった。」
(根津)
「よろしく頼むよ!」
彩夏が仮眠室のドアノブに手をかけた時。
あ、そうだ。と思い出した事を伝えようとした。
(彩夏)
「根津さん、俊くん。
私の一生のお願い、聞いてくれる?
もし、私が───────────」
(オールマイト)
「!!!!
いや、それは!!!」
(根津)
「どうしてそんなことを!!」
焦る2人と反対に彩夏は微笑んでいた。
(彩夏)
「ヒーローの免許、取った時から決めてたことだから。
私はそれくらいの覚悟を持ってるってことだよ。
そろそろ行くね、また後で!」
その時は思いもしなかった。
日常とは
いくつもの
偶然が
合わさりあった
奇跡なのだと。
そして、思い出した。
日常は
いとも簡単に
壊れてしまうものだと。