第6章 6話
根津の手の中には1台のスマートフォン。
2人の会話が気になり、彩夏も初めてタブレットから目を離し根津の手の中のスマートフォンに目をやった。
(オールマイト)
「ムム!!」
(彩夏)
「んん?どれどれ...
“オールマイト、わずか1時間で3件の事件解決”ぅ?
なにやってんの...だからここで休んでたのか。」
(根津)
「“君”が来たというのに未だこの街で罪を犯す輩も大概だが、事件と聞けば反射的に動く君も君さ!
昔から変わってないよね、本当。
怪我と後遺症によるヒーロー活動の限界。
それに伴うワンフォーオール後継者の育成。
“平和の象徴”に固執する君が両者とも社会に悟られぬままで居られるのはここしかないだろうと私が勧めた教職だぜ?
もう少し腰を落ち着けてもいいんじゃないかな。
それに、彩夏もいるしね。
現に今回の授業もう少ししか出られないんだろ?
勧めたのはこっちだけどさ、引き受けた以上は教職優先で動いて欲しいのさ。学校としては。
この街にもヒーロー事務所は何十件とあるわけだしさ。」
ペラペラと話しながら彩夏の座っているソファを懸命によじ登ろうとしていたのを彩夏が見て、根津の体を持ち上げ自分の膝の上に座らせた。
(オールマイト)
「おっしゃる通りです...だからこそ...今USJに向かう準備をしてまして...おかしな点もある事ですし...」
(根津)
「今行ってもすぐ戻るハメになるんだろう?
それならいっそここd────」
(彩夏)
「根津さん、ちょっとストップ。
俊くん、おかしな点ってさっき言ってた電話繋がらないってヤツ?
誰にかけてた?」