第4章 4話
(彩夏)
「うわ...すごい数のマスコミ...」
チッと舌打ちをした相澤が昨日より増えてやがると言った。
(相澤)
「しょうがねぇだろ。NO.1ヒーローのオールマイトが日本屈指のヒーロー科に就任したんだ。
マスコミにとっちゃ、いい餌だ。」
(彩夏)
「確かに。
今までバレてなかったのが不思議なくらいだね。
でも、どうするの?こんなに沢山のマスコミの中に突っ込んでいく訳にも行かないでしょう?」
(相澤)
「裏門使うからそんなの関係ねぇよ」
(彩夏)
「おおぉすごい。流石雄英」
(相澤)
「何言ってんだ...
朝早いから仮眠室いとけよ。なにかするものは?」
(彩夏)
「ある。仕事持ってきてるから」
相澤グループ───ヒーロー事務所や銀行など、相澤家が経営しているありとあらゆる会社───の取締役社長になっている彩夏は仕事をしなければならない。
高校生だという理由で、全権限は持っているに等しいが、実質相澤グループを動かしているのは違う人である。
所謂、お飾り社長だ。
それでもサインや、確認は彩夏本人がしなければならないことらしいため、仕事量はかなりの量になっている。
(相澤)
「そうか。ほら、着いたぞ」
(彩夏)
「送ってくれてありがとう、消太にぃ」
(相澤)
「...さっさと仮眠室行っとけ」
照れ隠しだと知っている彩夏は何も言わずに車から降りて、仮眠室へ向かった。
(彩夏)
「...はあぁぁ...確認多いなぁ...
しかも関係ないいつもの嫌がらせ文まで来てるし...」
彩夏が取締役社長に就任したのは約6歳だった頃だった。
本当ならば、彩夏と年の離れた姉が就任するはずであったが、ある事件がきっかけで不可能になってしまったためであった。
そのため彩夏は社長になるべくして生まれた姉とは違い、補助する為だけの教育を受けてきた。
その事に伴って親戚からの風当たりは強く、相澤グループの中で孤立した存在になっている彩夏には嫌がらせ文が毎日のように届く。
(彩夏)
「いい加減、この人たちも諦めたらいいのに...めんどくさ...
さっさとおわらせよ。」