第1章 1話
(彩夏)
「........。
それって...さ?
拒否権ないやつだよね...?」
わかってる。私が“こんな”だから国から監視対象になっていることも。
私には拒否権がないってことも。
そういった彩夏は冷めてしまったお味噌汁に手をつけ、ずずずと飲み始める
(相澤)
「.....あぁ。
こればかりは俺にはどうにも.....」
心底済まなそうにしている相澤の顔をみた彩夏は反論できる状態ではないことを悟り何も言わず、ただ
(彩夏)
「分かった。しょうがないよ。明日、根津さんの所行ってくる」
と、答えた
(相澤)
「明日、俺も一緒に行こうか」
その言葉に彩夏は今まで伏し目がちだった大きな目をぱっちりとあける
(彩夏)
「いや、ダメでしょ!
だって私たちの関係知っているのってひざしくんと校長と国ぐらいなのに...」
そんな彩夏とは対照的に相澤は淡々と告げる
(相澤)
「そうだ。
だけど、お前のことはみんな知っているだろ?
細かいこと気にすんな。」
そうなんだけど。
その選択はやっぱり合理的主義の彼らしいもので。
(相澤)
「車で行くし、ついでだ。」
ここのマンションからは少し雄英からは離れているため、自分で行くとなると少々めんどくさかったのであろう
彩夏はその一言で相澤と一緒に行く気になった
(彩夏)
「えー!電車で行くのちょっとめんどくさいと思ってたんだ!
行く!」
(相澤)
「じゃ、決まりだ。
寝坊するなよ.....」
彩夏は顔をしかめ、相澤から目をそらす
(彩夏)
「.......善処します...」
(相澤)
「オイ」
が、そんなことを相澤が許す訳もなく睨みつけた
私、どうすれば良かったんだろう...
ズキンッ
あぁ
またか