第9章 9話
こちらに気がついたエンデバーはゆっくりと彩夏の方へ歩み寄り、
「久しいな、相澤」と声をかけた。
それに対して彩夏は怖気付くこともなく、能面を顔に接着し、
「お久しぶりです、炎司さん。来られてたんですね」
(エンデバー)
「来ないわけがあるまい。俺の子が出ているというのに」
俺の子、という言葉に引っかかった彩夏は少し固まったが、炎司さんの苗字は轟だったと思い出す。
(彩夏)
「焦凍くん、出てましたもんね。」
それで根津さんは“エンデバーは来れない“と言ったのね
(エンデバー)
「…焦凍とは、仲がいいのか」
急な質問にびっくりしていたが、嘘をついてもいいことは何も無いので正直に話した。
(彩夏)
「いいえ、ただのクラスメイトです」
(エンデバー)
「俺はお前を買っているんだ。お前なら焦凍と仲良くさせてやっても構わん」
その言葉とともにエンデバーの炎の髭がさらに熱く燃え上がる。
(彩夏)
「いえ、結構です。」