第9章 9話
(マイク)
『さぁー!始まったぜ第二試合!!
俺は断然こっち応援してるから!!才色兼備とはまさにこのこと!相澤彩夏!!!!
バーサス!
こっちもいろいろ派手だなァ!A組青山優雅!』
(青山)
「ちょっと!!僕のキラキラをもっと伝えてくれるかな?!」
マイクの偏狭実況に野次を飛ばす青山。そんな青山には目もくれない彩夏。
どこか、遠くを見つめていた。
(マイク)
『わりぃ!無理だ!じゃあスタート!!!』
試合開始の合図が出た途端、いくつもの爆発音と周囲が確認できないような煙幕が青山を襲った。青山は何かに押されていたことに気が付き、呆然とバトルフィールドに立っていた。
2つ、わかったことと言えばいつもクラスの中心でニコニコと笑っている彼女が泣きそうな顔をしていたこと。
もうひとつは自分が場外へ出たということ。
(青山)
「…えっ?」
(ミッドナイト)
「青山くん場外!よって相澤さんの勝ち!」
(マイク)
『ええぇぇえええ!!瞬殺ぅぅうううう!!あえてもう一度言おう!瞬殺ぅぅううううううううう!!!』
スタスタと自分の方へ歩いてくる彩夏の顔は普段と変わらない笑顔が貼り付けられていた。
(彩夏)
「ごめん、青山くん。痛いところはない?」
(青山)
「いっイエス!マドモワゼル!!」
話しかけられたことに驚いている青山は英語とフランス語が入り交じった返事をした。
(彩夏)
「ほんとうにごめんなさい、ちょっと待ってて。今ロボを呼ぶから──」
バトルフィールドの端の方、ふたりでやりとりしているところにミッドナイトがやって来る。彼女は青山をロボに引渡し、彩夏の方に向くと何やら嬉しそうな顔になりこちらを向いていた。
彩夏はミッドナイトに笑い返し、バトルフィールドを後にした。