第9章 9話
(彩夏)
「…あのさ百、これどした?」
遠慮がちに聞かれたその言葉にすぐさま反応する八百万。
(八百万)
「彩夏さん…!今までどこにいらしていたんですか?!もう!探しましたのよ?!私彩夏さんの分まで作ったというのに…!!肝心の彩夏さんはいらっしゃらないし、峰田さんには騙されましたし…!!」
八百万はプリプリと言う効果音を付けながら、自分が持っているポンポンを小刻みに振り憤慨していた。
ほかの面々はと言うと恥ずかしがっている者もその服装で楽しんでいる者もいた。そんなA組の女子を「君たちは一体何を…思考回路がおかしくなったのか」と口をパクパクと空けながら叱っている飯田が付きまとっていた。
(マイク)
『さァさァ、みんな楽しく競えよ!レクリエーション!!
それが終われば最終種目!進出4チーム、総勢16名からなるトーナメント形式!!
1VS1のガチバトルだ!!』
マイクが放送を通して叫べばその場にいた全員が盛り上がる。
(切島)
「トーナメントか…!毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ…!!」
(彩夏)
「毎年トーナメントだっけ?」
彩夏の場に合わないを疑問を呟く。
「形式は違ったりするけど例年サシで競ってるよ」と、律儀にも返事してくれた瀬呂。
その返事を受けた彩夏は毎年毎年技巧を凝らしすぎなのでは…?とこれまた疑問に思ったが口には出さず黙り込んだ。
(ミッドナイト)
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります。
レクに関して進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。
んじゃ、1位チームから順に…」
「あのっ…!すみません」と言う声が聞こえた方を見る。すると直ぐに彼は話し始め、全員の注目を浴びた。
(尾白)
「俺、辞退します。」
その言葉で今までザワザワしていた場がいっそう騒がしくなる。
「尾白くん!なんで…?!」
「せっかくプロに見てもらえる場なのに!!」
(尾白)
「騎馬戦の記憶…終盤ギリギリまでほぼぼんやりとしか記憶が無いんだ。
多分、やつの個性で…」