第7章 7話
少し驚いた彩夏だったが、拒否することなく、───先程までは激しく頭や身体を拭いていたのだが──優しく拭き始めた。
(相澤)
「...守れなかった」
彩夏は直ぐに返事はしなかった。
身体と髪の毛を乾かす手を休め、代わりに相澤の頭をゆっくり撫でる。
(彩夏)
「それは違うよ、消太にぃ
消太にぃ達が命を賭して守ったから、明日A組は全員無事で集合出来るんだよ?」
(相澤)
「俺がちゃんと制圧出来ていれば、彩夏も来なくて済んだ」
(彩夏)
「その事なんだけどね、ごめんなさい。
もっと、はやく気がついていれば消太にぃはこんな怪我をしなかったはず。
それに、私が応急処置の想像が出来ていたら...」
消太にぃに後遺症なんて残らなかったかもしれないのに─────
その言葉を聞いた相澤は更に彩夏に抱きつく手を強める。
(相澤)
「彩夏はヒーローとして、必要な行動をとったんだろ?
俺のヒーロー生命なんかくれてやる」
そんなこと言わないで、消太にぃは私にとって1番かっこいいヒーローだから。と彩夏が相澤に抱きつく。