第10章 現れた幼馴染み
〜 ナレーション 〜
ー 先日、東京都内の高校に通う高校2年生の朝霧 蓮さんが、行方不明になりました。同居人の叔父、朝霧 晋哉さんや学校の同級生達は全く心当たりが無く、依然として手掛かりは掴めておりません。えー、続いてのニュースは…… ー
学校にも来ず携帯にも出ない蓮を心配した迅や鉄、瑠花の三人はその晩蓮の家を訪ねた。
だが蓮は居らず、家はもぬけの殻だった。
只事では無いと感じた三人は急いで警察に駆け込み事情を説明した。
蓮は行方不明扱いとなり、交番の掲示板などにはポスターが貼られた。
迅「おい、連絡着いたか?」
高校の屋上に三人は集まった。
後から屋上に来た迅が瑠花に尋ねる。
瑠花「全然ダメ…何回TELしても全部圏外だしメールも返ってこない……」
迅「先輩はどうですか?」
鉄「オレもダメだ、何の応答もない……」
迅「クソッ、何処行ったんだよ蓮!!」
顔を歪めて壁を殴りつける迅。
泣きそうな顔で制服のスカートを握り締めて俯く瑠花の背中を鉄が優しく摩る。
迅「なんでそんな落ち着いてられんスか先輩!!蓮が心配じゃないんスか!?何か危険な目に合ってるかもしんねぇんスよ!?」
落ち着いた様子の鉄に迅が叫ぶ。
鉄「落ち着け、焦ってどうにかなるワケじゃないだろ?それにあいつはそう簡単にどうにかなるような奴じゃない。それは幼馴染みのお前が一番良く知ってるだろ?」
迅「そ、それは…そうッスけど……」
鉄「なら落ち着いて、オレ達が何をすべきか考えろ。お前がそんな取り乱すなんてらしくないぞ」
鉄の諭す様な言葉に迅は落ち着きを取り戻す。
いつも冷静な彼がここまで取り乱すのは、それだけ蓮が彼にとって大切な存在である事を物語っている。