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【DB】彼岸花

第3章 トリップ




蓮「……ふぅ…」


歌い終わったあたしは一息ついた。
この歌を、あの夢を見た後にあたしはよく歌う。


幼い頃いなくなった両親の事がやっぱり気になる。
捨てられたんだと思う…思っているけど、やっぱり自分の親だ。
行方が…安否が気にならないわけじゃない。
何処にいるのかわからない、顔も微かにしか覚えてない親を思い浮かべてこの歌をよく歌う。


蓮「何してんだろうな…父さんと母さん……」


そう呟いて、あたしは目の前の海を見つめた。
ザザーッと波打つ音が聞こえる。
その音がとても心地良い。


ふと携帯を見ると、時刻は午前7時丁度。


蓮「そろそろ行くか…」


鞄を肩に掛け直して携帯をポケットにしまい、道を引き返そうと振り返った次の瞬間……


ドンッ


蓮「え?」


誰かに押され身体が宙に浮いたと思った次の瞬間、あたしは地面に向かって真っ逆さまに落ちていった。
落ちる瞬間その人物の顔が見えた。
…叔父の顔だった。


(ああ、とうとう…あたしはあいつに殺されんのか……)


これから死ぬってのに、冷静にそんな事を考えてる自分がいる。


(あいつに殺されるってのが癪だけど…やっとあの日々から抜け出せるんだ、良しとしよう……)


地面が見えてきた。
もうすぐ終わる。


結局親には会えないままだったが、もうすぐ死ぬんだ。
もう関係ない。


ただ、最後に一つ……


蓮「瑠花…約束…守れなくてゴメンな……」


そう呟いて、あたしは目を閉じた。
地面に身体が叩き付けられる瞬間、自分が不思議な光に包み込まれ、その場から消えた事なんか知らずに……。





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