第7章 宴
私達が部屋から出ると家康さんはすたすたと歩き始めた。
(やはり本性はそれか)
そう思いながら着物の裾をにぎって椿と後を追いかけた。
急いで曲がり角まで来ると、どんと人にぶつかってしまった。
「す、すみませ…」
ぶつかった相手はまさかの家康さんだった。
「はぁ…何で走ってんの」
「家康さんが歩くのが早くて置いていかれるかと…」
椿が少し申し訳なさそうに後ろから弁解する。
「…ごめん。ここからは他の奴に見られないからあんたたちの早さに合わせる」
家康さんはそう言うと今度はゆっくり歩き始めた。
私達は握っていた裾を離してありがたくゆっくり歩いた。
─
部屋の前に着くと家康さんが言った。
「じゃあこれで」
「ありがとうございました。おやすみなさい」
「…おやすみ」
椿にそう返すと家康さんはさっさと行ってしまった。
家康さんが見えなくなってから私達は襖を閉めた。
「ねぇ、家康さんってさ…」
私が椿に切り出す。
「「ツンデレだよね」」
(思ってることは一緒か)
私達は顔を見合わせて笑った。
「いや、出会い頭にあんなこと言っといて心配だから送るって…」
「ほんと!まだわかんないけど家康さん案外かわいいかもね」
私達はそう言いながら打ち掛けやら飾りやらを取っていった。
装備解除くらい自分でやらないとね。
「そういえば政宗は何してたの?初対面でもわかる破天荒なのにおとなしくなかった?」
私がそう聞くと椿は思い出したようにくすくす笑いながら言った。
「政宗ってすごく下戸らしくて…光秀さんがお酒とお水を取り替えてたみたいで、一口飲んだら寝ちゃったの」
「なにそれ!見たかった…」
「たぶんまた見れるんじゃないかな」
そんなことを話ながら私達は用意されていた寝間着らしきものに着替え、ありがたいことに敷いてあった布団にもぐりこんだ。
「おやすみ」
「うん、おやすみ」
長い2日間だったなぁ