第5章 帰城
(まぁそうだよな…)
自分の主人に「友達になろうよ!」とか言われてびっくりしない人間はいないだろう。
椿がにっこりと笑って言った。
「私達、ここに来て日が浅いから歳が近い方がいらっしゃって本当に嬉しかったの。だからさくらちゃんがもしよければお話とかたくさんしたいなって」
(椿、ナイスフォロー…!)
さすがは私の相棒、と目配せをしてニッと笑う。
するとふみさんが一つ息を吐いて言った。
「さくら、よき話し相手になるようにと側仕えに歳近い貴女が選ばれた訳ですから椿様のおっしゃるとおり、仲良くさせていただいたらいかがですか?」
私と椿とふみさんの押しに負けたのか、さくらちゃんはおずおずと頷いた。
私達はハイタッチしてにっと笑った。
「やったー!私のことはふみさんみたいに椿って呼んでね!」
「私のことも絢って名前で呼んでね!」
するとさくらちゃんは小さめの声で言った。
「では椿様、絢様。改めましてよろしくお願いします」
椿はにっこりとして言った。
「こちらこそよろしくね!城下とかに遊びに行こうねー!」
「え、椿城下町行ったの!?いいなー」
「へへ、今度は三人で行こうね」
そう言って椿はふみさんに「いいでしょう…?」と小声で尋ねていた。
ふみさんは仕方がありませんね、とため息をつきながらもOKしてくれた。
あと三ヶ月で帰れる。
その知らせも合わさって私達の心は踊っていた。
ここは戦国時代。
何が起こるかわからないというのにね。