第5章 帰城
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「うへー、結局怒られたね」
「ね…」
部屋まで走って帰った私達はたまたま部屋の前で待っていた豊臣さんに見つかり、結局怒られてしまった。
「まぁいいや」
「そうだね」
二人でごろりと畳の上で寝っころがる。
「「…」」
「…どっちからいく?」
「どうしよっか」
私達は暫く黙っていたが、椿が先に口を開いた。
「じゃんけんにしよう」
「OK、勝った方が先ね」
私達はむくりと起き上がって腕まくりをする。
「最初はグー」
「「じゃんけんぽん!!!」」
結果は椿がグー。私もグー。
「「あいこでしょ!!!」」
結果は…椿がグーで私がパーだったから私の勝ち。
「絢からだね」
「うん」
私は頷いて話し始めた。
・───・
「そんなことがあったんだね…」
椿は目を伏せて言った。
「うん。だからかな、さっき信長様の手に血がべっとりついてるような気がして…」
「とっさに避けちゃった」
「そう」
椿は小さくため息をついて言った。
「絢にそんな素質があったのは意外だった。…で、何しようと思ってる?」
「うっ…」
やっぱり椿には何でもお見通しか。
もう流石としか言いようがない。
「結局、何の役にも立てなかった。無理矢理しろって言われたとはいえ自分が提案した作戦なんだから、私も責任を持つべきだと思う」
「…」
「たくさんの人を怪我させてしまったのに私は無傷なの…。だから、私はあの恐ろしい場所で、責任を持ちたい」
自分でもとんでもない事を言っている自覚はあるんだけど…、あの光景が頭から離れない。
「はぁ…」
椿が今度は盛大にため息をつく。
「具体的に何すんの?」
「剣術を習って、お荷物にならなかったら実戦で出る」
「ちょっと待った」
椿が片眉をあげて言った。
「帰れる可能性は考えてる?」
「…あ」
(考えてなかった…)
少し考え直してみて言った。
「けどさ、帰れる保証も…な、い…」