好きになってもいいですか。~声優さんと恋をしよう~
第5章 不安
私たちは家に着いて、さっそく出掛ける準備を始めた
梶さんは台本を確認したり、スケジュールをマネージャーさんに電話したり…
一方私は、梶さんに買ってもらった服を並べてどれを着ていこうか悩んでいた
『う~む、どれも可愛いな』
私は全身が映る鏡の前で何十着もある服を身体に押しあてた
(梶さんはどんな服が好みなんだろう
いや、ここにあるやつは全部梶さんが気に入ったのだから全部好みなんだろうけど!)
『ワンピースか、スカートか、パンツか…』
いろいろ迷った結果、
夏らしいイエローのフリルオフショルトップスと、白いデニムのショートパンツ
そして、梶さんのお母さんが使っていたという、バッグとピアスをもらったのでそれを身につけた
髪はポニーテールで涼しげに
靴はいつも学校に履いていってる、スニーカー
白なので、なんにでもあうから使いやすい
顔はナチュラルに仕上げて派手すぎないようにした
『梶さん、気に入ってくれるかな』
私は梶さんの部屋をノックする
コンコン
「お、できた?」
『はい!バッチリです』
「わかった、荷物持って出てくるからちょっと待って」
ガチャ
「おまたせ、なんの服にし…」
梶さんは驚いたような顔をして言葉を切った
(え、なんか変だったかな?)
『あの~…梶さん?』
声をかけると、あ、と言って笑った
「か、可愛いよ!すごい似合ってる、うん…」
『ほんとですか?なんか言葉つっかえてるし…変なら変って言ってください』
「へ、変じゃないよ!ほんとに似合ってる!」
『じゃあなんで意味ありげな顔してるんですかー?』
「べ、別にそんな顔してないし!」
なんか、子供のこっそり食べたお菓子の言い訳を聞いてるみたいで可愛いと思った
『すいません、ちょっと意地悪しちゃいました♪』
「…梢ちゃん慣れてきたな」
『てへぺろ♪』
てへぺろを造り出した日笠さんってすごい
いろんな場面に使えて便利~ってそんなこと考えてる暇じゃなくて!
『梶さん!時間大丈夫ですか?』
「あ、もうマネージャーの車来てる時間だ!」
私もマネージャーさんに送ってもらえることになっているので、
梶さんと一緒にマネージャーさんの車まで急ぐ