第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト
──翌朝──
マリアンヌはいつもの時間に目を覚ましたようだが、ひどく身体が重い……
「(ここは……)」
ここはかつて自分が使っていた一人部屋だ。
何故ここに…と一瞬疑問に思ったが、少しずつ蘇ってくる記憶を辿れば、今自分とアンダーテイカーがここにいる理由は容易に想像できた。
少しずつ暗闇に目が慣れてくると隣で眠っているアンダーテイカーの姿が目に入る。
サラサラの銀髪に長い睫毛。
少し口角を上げて気持ち良さそうに眠る無防備なアンダーテイカーを、思わずマリアンヌは愛しく感じてしまう。
「(アンダーテイカーさん……)」
その妖艶な銀髪に思わず手が伸びてしまった時だった。
「(え?!)」
ドサリという音と共にマリアンヌの視界はグルリとまわり、黄緑色の瞳と目が合う。
「(え?!なんで…)」
いつもは起こしてもなかなか起きないアンダーテイカーがいきなり起き上がって自分を押し倒した。
これはいったいどういう状況なのだろうか……
「おはようマリアンヌ〜、実はね、小生昨日の夜からずっと我慢をしていたんだ。」
「(え?え?え?)」
昨日の激しい情事で気怠さの残る身体に襲いかかったのは、ヤル気まんまんのアンダーテイカーの愛撫だった。
「(キャッ!キャアア!!)」
「マリアンヌ〜朝まで我慢をしていた小生に極上のご褒美をおくれ〜ヒッヒッヒッ!」
本日の開店は昼過ぎになりそうだ。
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時同じくしてホプキンス・テーラー。
「あぁん♪マリアンヌ、喜んでくれるかしらん♡」
ニナは早朝にも関わらず、店でマリアンヌから注文を受けた服を仕立てている最中だった。
ニナがマリアンヌのためにプレゼントしたハニーソルト。それがめぐりにめぐってアンダーテイカーを喜ばせることになってしまったとは…当然だがニナは知る由もなかった。