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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト





気づけばだいぶ長い時間湯に浸かっている。

しかしどれだけ聞いてもアンダーテイカーの話は飽きることなく楽しい。
マリアンヌはすっかり時間を忘れていた。


「マリアンヌ、そろそろ出ないとのぼせてしまわないかい?」


「(!!)」


話に夢中で時間の経過など忘れていたマリアンヌだったが、言われてみれば身体は十分に温まっているし、若干喉も乾いた。


「(そ、そうですね…すみません。話に夢中になってしまって…)」


「別に小生は構わないさ〜また一緒に入ってくれるかい?」


「(は、はい……)」


裸の付き合いで更に距離が縮まったのか、マリアンヌは素直に答えてくれた。


そんな可愛いマリアンヌの頭を撫でてやりながら、タオルの準備をしようと立ち上がろうとしたその時だった。


「(あ、アンダーテイカーさん。どうして読唇ができるって言ってくれなかったんですか?これからは読唇で会話した方がスムーズですよね?)」


そう、アンダーテイカーとの会話は手のひらに指を使っての筆談。それでも手のひらに書くとなると離れた所での会話がどうしてもできない。

読唇ができるならばどうして早く言ってくれなかったのだと疑問に思ってしまった。


しかし、返ってきたアンダーテイカーの返事は予想とは違うものだった。


「え〜、小生は今のままじゃなきゃイヤだなぁ〜。」


唇を尖らせてブーブーと拗ねるような態度だ。


「(え?)」


「だって、読唇で会話をしてしまったらマリアンヌが小生の側に来て手をとってくれる事がなくなってしまうじゃないか…そんなのは寂しいからいやだよ。」


「(……………)」


そう、いつだってアンダーテイカーと話をする時は必ず隣で寄り添って手を取り合っていた。

離れた所で会話をした事など無かったはずだ。


そんな自分との会話の時間を、自分以上に大切にしてくれていた事に驚いたのと同時に、読唇の方がいいのではと勧めた自分が急に恥ずかしくなってしまった。


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