第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト
少し暖かくなってきた4月のロンドン。
朝日も月明かりも拒む真っ暗な暗闇で、マリアンヌはアンダーテイカーの腕の中で目を覚ます。
「(ん…朝、だよね?)」
分厚い遮光カーテンで光を遮られてしまえば目覚めはマリアンヌ自身の体内時計が頼りだ。
ゴシゴシと目をこすっていくうちに少しずつ目が慣れてきた。
アンダーテイカーの腕をどかしちょこんと座れば、服や下着など、昨夜の激しい情事の名残りがそこかしこに散らばっているのが目に入る。
時計を見ればいつもの時間だった。
しかし、今日は“いつも”の様にモタモタとはしていられない。マリアンヌは、勢いよくアンダーテイカーを揺り起こした。
「(アンダーテイカーさん!起きて!起きて下さい!早くしないと!)」
「う〜ん、まだ真っ暗だよマリアンヌ。もう少し小生と寝ていようよ〜」
真っ暗なのはカーテンのせいであって、もう朝なのだ。いったい何度同じ事を言えば分かってくれるのだ。
しかしアンダーテイカーはお構いなしにマリアンヌの両腕を掴むとズルズルと布団に戻そうとする。
ブンブンと首を振りながら抵抗するが、非力なマリアンヌがかなうはずもない。
必死にアンダーテイカーの手を取り訴える。
「(アンダーテイカーさん!今日は、ニナさんのお店に遊びに連れて行ってくれる約束です!早く起きて下さい!)」
「あ〜〜、そうだったね〜。じゃあ“二度寝”はできないね〜、ヒッヒッ。」
天井を見上げながら思い出す様子は実にわざとらしい。しかもズルズルと布団に引き込む手は緩めようとしない。
違う、そうではないのだ。
二度寝ができないのではなく、マリアンヌは今起きて欲しかった。
「(あぁん、アンダーテイカーさん!起きて下さい。)」
「今更どうしたんだい?朝だっていつもしてるじゃないか〜強情だね〜」
すると、アンダーテイカーは布団の中に潜り込むとゴソゴソとマリアンヌの下半身をまさぐり始めた。
「(えぇ?!)」
一糸まとわぬ寝起きのマリアンヌを襲ったのは秘部から伝わってくるアンダーテイカーの舌の感触。
「(えぇ!?や、やだ…うそでしょ?!)」
マリアンヌは必死に身体を起こそうとしたが、時すでに遅しであった。