第17章 最終章・君は小生の宝物
「(そ、そんな…そんな事……)」
それは、自分の願いだと小さく首を振るマリアンヌ。
「ん?未来も来世も小生と一緒は…嫌かい?」
「(ち、違うんです…アンダーテイカーさん…それは、私の願い、私が願ってる事なんです…)」
「そうかい…それは奇遇だねぇ〜。じゃあ返事はイエスととらえても…いいのかな?」
小さく首を傾げて美しく光る黄緑色の瞳でマリアンヌを見上げるアンダーテイカー。
答えなど、1つだ。
「(…はいっ!!もちろんです!!)」
その答えにホッと安堵すると、アンダーテイカーはローブのポケットから“あるモノ”を取り出して再びマリアンヌの手を取った。
「(………あ…)」
アンダーテイカーがポケットから出したモノ。
それは、ダイヤの指輪だった。
それを左手の薬指にはめてやり、キスを落とす。
「小生もマリアンヌも、日本には非正規のルートで入国したからね。戸籍も身分を証明するものもない。だから、正式な婚姻届も式を上げることもできないんだ…だから、せめてもの誓いであり証だよ。君を幸せにするというね…受け取ってくれるかい?」
自分の指にピッタリとはまったダイヤの指輪。
どの角度から見てもキラキラと眩しいほどに光り輝いている。
「(う、嬉しいです!!アンダーテイカーさん…ありがとうございます…!!)」
感極まったマリアンヌは、アンダーテイカーに抱きつこうとすると、勢い余って車椅子から落っこちてしまった。
ードサッー
「ヒッヒッ、お気に召してくれた様で安心したよ〜」
「(うっ…うぅ……嬉しい、私、幸せです……)」
気付けばマリアンヌの大きなヘーゼルの瞳からは大粒の涙が溢れていた。