第15章 その瞳の燐光
「貴方がたに彼を連行されては困りますので…」
「あん?!セバスちゃんだってこいつを野放しにしとくわけにはいかないでしょ?利害は一致するんだから、邪魔をしないで!」
「いいや、僕らも女王の御前に真実を献上する役目がある。ここでそいつをのがすわけにはいかない!」
「なんですって…!?」
「という訳で彼の身柄は我々が拘束させて頂きます。」
何ということか。
アンダーテイカーを捕える事に関しての目的は一緒でも、連行させる機関がそれぞれ違う。
グレル達は死神派遣協会の上層部へ。
シエル達は女王の番犬としてヴィクトリア女王の元へ。
「これは死神界(アタシ達)の問題よ!外野は引っ込んでで!」
「こちらも執事の仕事です。外野は引っ込んでて下さい。」
それぞれにそれぞれの立場があり、三つ巴状態になってしまった。
「相変わらずシビレるストイックさね、セバスちゃん。いいワ、そっちがその気ならこっちも遠慮しないワヨ!」
「貴方の辞書に“遠慮”という単語が存在した事が本日1番の驚きです。」
シレッとグレルを挑発するセバスチャン。
「…んじゃあ…、シンプルに早い者勝ちって事で…」
たった今セバスチャンに蹴り飛ばされたロナルドがユラリと立ち上がると、セバスチャンをギロリと鋭く睨む。
「オッサンに負ける気しないケドね!!」
「おやおや…小生もしかして狙われてる?」
おどけた振る舞いを崩さずに、アンダーテイカーはマリアンヌに近づくと、耳元でそっと囁いた。
「危ないから少し離れていれおくれマリアンヌ。それと……躊躇うことはないからね…じゃあビャク、マリアンヌを頼んだよ?」
「(アンダーテイカーさん……)」
スカートで隠れているモノをスラリと撫で、アンダーテイカーは卒塔婆片手にコツコツとセバスチャン達の前までくると、口角を上げて不敵に呟く。
「ヒッヒッ…まるで兎狩りだねェ…さて、狩られる兎はどちらかな?」
「「「!!!」」」
フロア全体にピリリと緊張が走った。