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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第12章 ヤブレ血マミレ処女航海、いざ出航




「(あ、いえ…こちらこそ、はぐれてしまって…すみませんでした…)」


マリアンヌはロナルド・ノックスと名乗った男が向かっていった2等の乗り場の方を見たが、もうその後ろ姿は人混みに紛れて見えなくなってしまっていた。


「ん?どうしたんだい…?」


様子のおかしいマリアンヌの顔を覗きこむと、マリアンヌはアンダーテイカーの手を取った。


「(あ、あの…通りかかった男性とぶつかってしまって、声をかけられたのですが…その方、瞳が黄緑色でした…)」


「え?」



黄緑色の瞳。

それは死神の特徴の1つだ。



「マリアンヌ、その男、眼鏡はかけていたかい?」


「はい…かけていました…」



黄緑色に眼鏡。

現役の死神だ。



「そうかい…まぁでもヤツらが来ていても不思議ではない。なにせ、今ヤツらの持っているリストには、何百人っていう人間の名前がのっているんだ。その魂を全て回収する予定になっているからね…現役の死神がのりこんでいても不思議ではないが…邪魔だけは勘弁願いたいね〜…」


裏の実験で大勢の人間が死亡するのはほぼ確実に決まっている。
そのため、アンダーテイカーは死神がこの客船に紛れ込んでくる事は十分に想定はしていた。

だが、その彼らがどこまで自身の思惑に気づきどういった行動に出てくるかまでは予想できていなかった。



「まぁ、今考えても仕方ないね、その“彼”は2等の乗り場に向かったんだろ?それならおそらく会うことはないだろう。少なくとも19日まではね…」


「(そ、そうですね……)」


「それじゃあ小生達も船に乗ろう。朝から馬車で疲れただろう?中に入ったらラウンジにでも行って休もう。」


「(は、はい…)」


アンダーテイカーはマリアンヌの肩を抱くと、1等の乗り口へと向かう。




現役の死神が既に船に乗り込んでいる。

それはアンダーテイカーの言っていた裏の実験で大勢の人間の命が消える“予定”であると証明している事になる。

現役の死神と言えば、マリアンヌはグレル・サトクリフの印象が強く残っている為、できればあまり対峙はしたくなかったがそう都合よくはいかぬだろう。

少し不安な表情を残したまま船内へと入っていった。





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