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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第11章 死神アンダーテイカーの裏の裏





まだまだ寒さの厳しいロンドン。


今日は外に出る用事はない。


店ではアンダーテイカーとマリアンヌが、暖炉の薪がパチパチと燃える音を聞きながら紅茶を飲んでいた。


ビャクは暖炉の前に置いてある人骨のT字スタンドに止まり、寒さをしのいでいる。






暇……

と言われれば暇かもしれない。






しかし、自身の膝の上にマリアンヌを跨がらせながら紅茶を飲んでるアンダーテイカーはニコニコと実に楽しそうだ。

特別何か話をしている訳ではない。

ただ黙って紅茶を飲んでるだけだ。

何がそんなに楽しいのだだろうか。




「(アンダーテイカーさん?何かいい事でもあったんですか?)」


何気なくマリアンヌは聞いてみた。



「ん〜?どうしてそんな事を聞くんだい?」



「(あ…いえ、特に理由があった訳ではないのですが…アンダーテイカーさん、なんだか楽しそうにしてるので。)」



「そうだねぇ、今小生はとっても楽しいよ〜♪」



「(え?やっぱり!何かあったんですね?!)」



何か楽しい話でもあるのかと思い、マリアンヌもつられる様にニコニコと笑顔で問いかける。



「…マリアンヌが小生の膝の上にいる。」



「(え…?)」



「だから、マリアンヌが小生の膝の上にいるって言ったんだよ。それだけで小生は十分に楽しいし、上機嫌さ〜」



そう言うと、ビーカーに入った紅茶をカウンターに置き、向き合って跨っているマリアンヌの腰をグイッと引き寄せ、身体が密着する様に互いの距離を縮めた。



「(キャッ!!)」



「こんなに可愛くてこんなに愛してるマリアンヌがこうして小生の膝の上にいるんだ。それ以上に楽しい事なんてないさ。」



「(ア、ア、アンダーテイカーさん…?!)」



不意打ちの様な愛の囁きに、マリアンヌは思わずたじろいでしまうが、そんなのはお構いなしにアンダーテイカーは背中に腕をまわすと、そっと唇を近づけてきた。


「(んー…!!)」



キスをされる…


と、マリアンヌがギュッと目を瞑った時だった。




ーコンコンッー





静かな店内に、扉をノックする乾いた音が響いた。




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