第1章 甘くて激しいバレンタイン♪
窓から朝日がさし…
こまない、暗い部屋で毎日私は目を覚ます。
「(ん…朝、かな?)」
起き上がろうとするが、後ろからしっかりホールドされている為、振りほどかないと上体を起こすことが出来ない。
しかしこれは毎度毎度のこと。
身体を起こすとその身には下着1枚纏っておらず、ブルっと身震いをする。
しかし、これも毎度毎度のこと。
「(アンダーテイカーさん!起きて!起きて下さい!)」
毛布で胸元を隠し、ゆさゆさと身体を揺らしてこの部屋の主を起こす。
私は喋る事ができないから声で起こすことが出来ない。
しかも彼は起きたくないのか、なかなか目を覚ましてくれない。
揺り動かす腕にも力が入ったところでようやく目を覚ました。
「マリアンヌ〜、相変わらず早起きだね〜。もう少し小生と寝ていようよ〜」
そう言いながらズルズルとマリアンヌを布団に戻そうと腕を伸ばしてくる。
この台詞も毎度毎度のことだ。
何の予定もなければ少しくらいよいのだが、確か今日は朝から出かける用事があると言っていた。
何処に行くのかは聞いていなかったが、おそらくは遺体の検死の依頼だろう。
それを伝えて二度寝は断ろうとするが、身振り手振りでは伝わらずアンダーテイカーは首を傾げたままだ。
仕方なくアンダーテイカーの手を取り、手のひらに指で書いて伝えようとしたが、彼の手を取ったところで強い力を感じ、視界がグルッと反転した。
──ドサッ──
「ひっかかったね〜つ〜かま〜えた〜!」
気づくとマリアンヌはアンダーテイカーを見上げていた。
そう、これも毎度毎度のことだ……
しかし、今日はどうしても早く出かけてもらいたい理由がマリアンヌにはあったため、このままアンダーテイカーの誘いに流される訳にはいかなかった。
かき上げた長い銀色の前髪から除く黄緑に光る瞳は、吸い込まれる様な妖艶な美しさで、思わず心臓が飛び跳ねてしまうが、今日は流されてはいけない。
キスを迫る顔を両手で押し返し抵抗する。
「あれ〜?珍しく今朝は強情だね〜?」
しかし、その抵抗も、ものの数秒で虚しく攻略されてしまうこととなる。