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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第8章 死神との生活






両目から溢れ出る涙は止まることなく頬を伝う。




“サラでもジゼルでもない”




その言葉が何度もマリアンヌの頭の中でリフレインする。


アンダーテイカーはいつだって自身を1人の人間として扱い、いつだって気遣い、いつだって優しかった。



「(本当に、…こんな私が受け取ってもよろしいのでしょうか…?)」



「マリアンヌ…、“こんな”…じゃない。小生は他でもないマリアンヌに受け取ってほしくて作ったんだ。マリアンヌ以外にプレゼントする気なんてないからね。それに…」


アンダーテイカーはマリアンヌの両手を包み込んで握ると、目線を合わせる様に屈んで顔を近づけた。

いきなり顔と顔の距離が縮んでしまいマリアンヌはビクッと肩を震わせてしまう。


「それに…、マリアンヌは小生と新たな人生をスタートさせたんだ。もうこれからは、自分のことを蔑む様な言い方はやめておくれ。」


少し悲しげな視線を向けられるとマリアンヌの胸も切なく痛む。


「それじゃあ、受け取ってくれるね?」


アンダーテイカーの心からの気持ちを確認すると、マリアンヌはそっと頷いてみせた。



「(…す、すみませんでした…それと、ありがとうございます…)」


涙を流しながらも一生懸命に笑顔を作って答えるマリアンヌにアンダーテイカーは優しく頭を撫でてやった。


「(私、いつもアンダーテイカーさんにしてもらってばかりで、何も返せてません。私、何か御礼がしたいです。)」


「御礼?そんなのマリアンヌは考えなくていいよ。食事もプレゼントも小生がしたくてしたまでだ。」


まさかのマリアンヌの申し出に驚いたアンダーテイカーだったが、今答えた返事に嘘はない。


しかし、それでは納得がいかないといった表情で見つめられてしまうと、アンダーテイカーの男としての部分がわずかに疼いた。



「う〜ん、そうか…そこまで言うなら1つ、いいかい?」



「(は、はい!もちろんです!!)」



やっと何か返すことができると思ったマリアンヌは張り切って返事をしたが、アンダーテイカーから要求された“御礼”はマリアンヌの想像していたものとは全く違っていた。



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