第8章 死神との生活
「(あ、ありがとうございます…それと、すみません…シーツ、自分で洗いますから……)」
「血のついた布の洗い方はちょっとコツがあるんだ。今度教えてあげるよ。」
「(アンダーテイカーさんは、なんでも知ってるんですね……?)」
「まぁ、死神として長いことやってるから、それなりに知ってるよ。それに検死が趣味だと自然と洗濯も得意になるんだよ〜、自分も血だらけになるからね〜ヒッヒッ。」
「(あ、あれ?!)」
だが、マリアンヌがシャワーを終えると、シーツも汚れた衣服もキレイに洗濯されていた。
「(アンダーテイカーさん?洗濯……しちゃったんですか?)」
「あぁ、マリアンヌおかえり〜洗濯はもう小生が済ませてしまったから大丈夫だよ。今日は何もしなくていいからコレを飲んでもう少し眠るといい。」
アンダーテイカーは調合した薬をマリアンヌの手に握らせるとニッと微笑んでみせた。
「(あ……何から何まですみません……)」
「そんなことないさ〜“女の子の日”は無理をしてはいけないんだ。よく覚えておくといい。」
「(ありがとうございます……では…お言葉に甘えて……)」
「ゆっくり休んでおいで〜」
「(はぁ…………)」
薬を飲んでベッドに入ると、どんどん身体が重くなってくるのを感じた。
これから毎月こんなのと付き合わなくてはならないのかと思うと少し憂鬱だ。
でもアンダーテイカーはそんな自分を気遣い休ませてくれた。
娼館にいた頃は風邪を引こうが熱が出ようが仕事を休ませてもらえる事などなかったというのに。
両極端な環境にマリアンヌは少し戸惑ってしまう。
アンダーテイカーの優しさは、普通の優しさなのか…それとも自分を特別に想っての優しなのか…
「(アンダーテイカーさん……)」
考えれば考えれる程胸の奥が熱くなりズキンと痛む。
この気持ちの正体が分からずもどかしくなるが、マリアンヌは身体の怠さに負けてスヤスヤと眠りの世界に意識を手放してしまった。