第6章 死神とスパイス
死神と人間と鳩がひとつ屋根の下で暮らすという何とも摩訶不思議な生活が始まると、季節は冬へと移り変わり日ごとに寒さが厳しくなっていた。
寒さに弱いビャクは店のカウンターにタオルで巻かれた湯たんぽの上か、暖炉の前に置かれたアンダーテイカーお手製のT字の止まり木スタンドの上が定位置となっていた。
しかし、このT字スタンド、アンダーテイカーの持っていた骨のコレクションを繋ぎ合わせた物でなんとも気味が悪い。
だが、アンダーテイカーがビャクのために作ったのだ。なんだか作りながら楽しそうに鼻歌を歌い、時折「腓骨(ひこつ)はどこかな〜?大腿骨がいいかな?」などと骨の入った木箱をガチャガチャとかき混ぜながら、まるで子供が玩具で遊ぶかの様に楽しそうに作っていた。
大きさからいっておそらく人間の骨だろう。
レプリカか本物かも気になるところだが、アンダーテイカーのことだ。きっと本物の人骨だろう。
気味が悪いことこの上なかったが、文句を言わないのがこの店に置いてもらえる条件なのだ。
ビャクは気味悪がりながらもアンダーテイカーお手製の人骨止まり木を愛用するしかなかった。
──カチャ──
「ただいまぁ〜マリアンヌ。小生寂しかったよ〜。」
アンダーテイカーは外出から戻ると一目散にマリアンヌの元へ行き抱きしめキスをした。
「(あ、アンダーテイカーさん、おかえりなさい。)」
そして、ポストに入っていた一通の手紙をマリアンヌに手渡してやる。
「ニナから手紙がきていたよ。」
「(え?ニナさんからですか?)」
ニナからの手紙に少し胸を躍らせると、マリアンヌはすぐに封を切り読み出した。